公益財団法人 相模原市産業振興財団

おかめが空から降ってきた!

キープラネット 代表 川野真理子

  《盛り上がっている最中の会議室のドアが突然開いて、見たこともな い異星人が入ってきた。 
えっ、一体、この人は誰?》

私は、現役フリーランサーや個人起業家のスキルアップのために、 毎月一回、いろいろな
セミナーや勉強会、講座を開催している。今から書く話は、忘れもしない三年前、
40才を過ぎてからアメリカの大学に入学、帰国したばかりの女性を呼んでお話しを
聞こうという会での失敗談である。

彼女との連絡はほとんどメールで行い、メールが見れない時はFAXと時々電話を
使ってやりとりをし、一度も会わずに当日を迎えたのだった。開始10分前になっても
現れない。5分前にもまだこない。ついに開始時間になってしまった。

仕方がないのでレジュメの第二メニ ューを先にしようと腹を決めそれでも長目の
挨拶をして時間を稼 でみたが、やっぱりテキはこない。結局ディベート風のミニ討論を
先に開催し、これはこれなりに盛り上がっていた。

すると、1時間経過した頃ドアが開き、両頬にたっぷり頬紅をつけ過ぎたおかめのような
中年の女が入ってきた。「お部屋を間違えてますよ」誰もがそう思ったし、
誰もがその場違いの女性の出で立ちに見とれていた。ブラウスもスカートもあの頬 紅に
合うようにとても上手にコーディネートされ、背負ったリュックサックにもぬいぐるみまで
がぶら下がっていた。今までに見たことのない宇宙のおかめが空から降ってきたという
感じであった。私たちが一瞬も二瞬も引いているその隙に、彼女は悪びれた様子もなく
講師席に向かって歩き出し、その席に座ってしまった。

盛り上がっていたディベートは、一気に盛り下がり、誰も何も言わず、
身動きしないでその異様なシーンを見つめていた。「嘘でしょ! 嘘でしょ!
 神様、これはジョークでしょ?」心の中で私は叫んでいた。が、神は非情だった。
神はささやいた。

「これは現実です。人は会って話を進めるべきです。あなたはどう してそんなに人を
読む目がないのですか。デジタルの時代になればなるほど、会って自分の気と相手の
気を合わせなさい。自分の肌で 相手を感じなさい。二度とインターネットだけで
仕事をしようと思 わないように。」と。 本当に、もし最初に会いれば、
絶対にこんなことはおこりはしなかったのだ。一体、参加者はみんなどう思ったことだろう。
あまりの自分の愚かさと、申し訳なさに、その夜は眠れなかった。

SOHOのみなさんも、主催をする人も、みんなみんな気をつけようね! 
   教訓:「ネット時代は『会うが先』人には会うべし。」

えっ? その後の講演はどうなったかって? そりゃ、中止ですよ。
「残念ながらもう時間がありません。それに、女性の集まりは時間 にルーズなので、
1時間位は皆さん遅れてくるでしょうって そんな勝手な理論で連絡もなく遅れて
いらっしゃるような方のお話しを聞いても、あまりためにはならないと思いますので、
少し早いですが、これで今日の定例講演会は終了いたします。」って、
何事もなかったように終わってしまいましたとさ。

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