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目標・目的を明確にすることで得るもの

更新: 2007年01月23日
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私は福岡県北九州市・門司港という港町で生まれ育ちました。幼いころから野球が大好きで、恥ずかしながら真剣に将来の筋書きを描き、絶対プロ野球選手になるんだと考えていました。「自分の力で自分の道を切り開きたい」切り開くことができるのが野球なんだと。そういう信念がありました。

高校では甲子園に出場。大学でも神宮球場のマウンドに立ち、社会人野球では都市対抗こそ出場できませんでしたが、現在プロで活躍している多くの選手とともに戦ってきました。ただ、客観的に見て実力の差は歴然。チームメイト、対戦相手でドラフトにかかる選手と私を比較した場合、絶対的な力の差があり、認めたくはないけども認めざるを得ないのが現実でした。今でも時々その悔しさを思い出します。

高校、大学のころ、私のまわりには「プロ野球選手になりたい」と口にしている同僚が数多くいました。そのほとんどはプロの道へ、また社会人野球でも球歴に名を残す選手になっていきました。私はというと、自信のなさからか、とても口にすることができず、「ああ、あんなふうに人前で堂々と口にできるようになったらどんなにいいだろう」とそんな思いで小さくなっていたのを覚えています。そして自分の夢を語る勇気がないまま26歳で現役引退。さすがにこたえました。精神的な大きな支柱をもぎ取られるような感覚でした。自己崩壊感、焦燥感を味わったのを覚えています。

そうした野球に打ち込む日々が過ぎると、社業に専念する日々がやってきました。早速、営業部署へ異動。一心不乱に仕事に打ち込み、これまでの分を取り返すべく、会社での実績を作り新たな明確な目標を掴みたいという思いに駆られ、仕事以外、何ものも感じないくらい働き続け、その後営業スタッフを育てる管理職になることができました。しかし、順調に人生を進んでいると思えるのは表面だけで、実はこの時期、何を目標に、何が楽しいことなのかそんな感覚を失っていました。

そんなある日、これまでを振り返る瞬間がありました。「もしかしたら、自分は人を育てる仕事が好きなのかもしれない」・・部下が一歩一歩成長していく姿、その姿を見ているのがなんとも心地いい。もしかすると私は「人を育てる仕事がしたいのでは」と感じていることに気が付くようになりました。
すでに私には「人を育てる」=「教育」という図式がすでにあり、「教師」というキーワードがすぐに浮かんできました。そこで「よし!教師になろう」と決断することになりました。その後、何かに突き動かされるかのように6ヶ月後、勤めていた保険会社を退社しました。

幸いにもまもなくして、私立高校の教師になることができました(大学時に教員免許取得)学校での仕事、教師生活に慣れるのは意外にも早く、また、野球部のコーチもしていましたので「将来は監督として甲子園!」なんて思っていました。
しかし、順調に時が経つにつれ、自分のなかでさまざまな問いが生まれてきました。「『人を育てる』って結局どういうこと?」という思いです。当時私は、生徒に「こうでなくてはならない」「これが理想だ!」といった私自身の観念ばかりを押し付けていました。いわゆる「あるべき姿」ばかりを優先して指導していました。それが自分のなかで、一方的に何かを押し付けているのではないかという不安を感じはじめたのです。

そんなときに出会ったのが実は「コーチング」でした。
コーチングとは「相手の目標達成・課題解決をサポートするコミュニケーションシステム」のこと。
図書室でたまたま手にとった本それが「コーチング」の本。そこには「気づきを促す」「自発的な行動をサポートする」このような言葉がたくさん目に飛び込んできました。その言葉は私の毛細血管にまで染み渡るかのように体中を駆け巡りました。頭のなかが混乱してしまったのを今でも覚えています。
これまでの固定観念で縛られた指導論はなんだったのか?とにかく衝撃的でした。

その後、早速専属コーチを付け、そしてその数ヶ月後にはコーチ養成講座へ通い、コーチングスキルを学び始めました。コーチングを受ける・学ぶを通して、次第に自分の考え、方向性、自分の人生の戦略などが明確になっていきました。そして自分のこれまでの思い、未来への思いを口にすることができるようになっていったんです。
本当は何をしたいのか?、それをするにはどうしたらいいのか?、気がついているようで気がついていないこと、明確になっているようで実は曖昧にしていること、出来ていないようで出来ていること、自分が気がついていなかった能力など、あらゆる自分の資源や取り巻く環境などを肯定的に自覚することでできるようになりました。そうすると不思議なもので、生徒とのかかわり方にも余裕が生まれ、視点視界がガラリと変化していきました。生徒をいかに気づかせ、自発的に行動を起こしてくれるかという視点に立って物事を見ることができるようになっていきました。

そうしていくうちに「もっと幅広い世代の方々と触れ合い、たくさんの方々の自己資源を引き出し、それを『使う』ことができるようサポートをしていきたい」という思いが込み上げてきました。そしてその数ヶ月後、教師を辞めることに。すぐにコーチング研修の会社に入りました。コーチングおよび研修講師について専門に学ぶようになり、2005年10月に独立。現在はフリーのコーチ、そして企業と提携し専任講師として企業研修、公開講座、1to1コーチングといった展開を行っています。

現在は、思いを言葉にできるよろこびとその思いに向かって行動していることを実感しています。自分を知ること、相手を知ることで多くのことを学ばさせていただいています。本当にコーチングを知り、それを使い貢献できていることの喜びを感じ、感謝と感動の毎日です。
私は、近い将来「コーチングの塾」を開きたいと考えています。こどもから大人まで、その方のビジョン形成、目標達成、課題解決をサポートする塾です。
地域の方々の「人学びと対人コミュニケーションの向上」を促し、人の活性化と地域経済の発展に努めていきたいと考えています。

松尾 昭享コーチングオフィス
コーチ 松尾 昭享