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個人クリエイターと著作権のありよう

更新: 2002年09月02日
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行政書士   日野 孝次朗  2002.9.5

個人事業のデザイナーさんにとって著作権の問題は重要です。デザインを作ってお金に
替えることが出来るのも、著作権法によって権利が保護されているからです。
そのあたりの仕組みをお話しましょう。

デザインを作ると、その瞬間に著作権が発生します。そして、この状態では作者以外の人は
このデザインのコピーなどの利用をすることができません。著作権法によって著作者だけに、
コピーをはじめとする利用が認められているからです。そこでデザインを利用したい人が現れて、
「お金を払うからそのデザインを利用させてください」と言ってくれたときに、
「はい」と言えば契約が成立します。契約は契約書にサインをしなくても口約束だけで成立します。

しかし、利用をさせるということが法的にどういう意味であるのかをはっきりさせないと、
後でトラブルになります。というのも、著作権は譲渡することができるので、
著作権そのものを相手に譲ってしまうことができますし、譲渡はせずに利用を許すだけ、
ということもありえます。こういったことをきちんと契約の中で取り決めないことが非常に多いので、
後でトラブルになることがあるのですが、契約書という証拠品がないので、力関係で有利な
側(一般的には利用者側)の言い分が通ってしまいがちです。

契約書を作る場合でも、きちんと契約の内容を理解しておくことが重要です。
著作権法は著作者を守るためにいろいろな権利を与えています。利用をさせない権利、
改変させない権利、名前を表示する権利、他人に譲渡する権利、などです。

しかしせっかく法律が与えてくれた権利も、契約書の中でいちいち「権利は主張しません」とか
「放棄します」などと書かれていて、そういった契約書にサインしてしまいますと、
せっかくの著作権法も無駄になってしまいます。「お客の言いなりにならないと、
次の仕事が来なくなる」という考えの方には、また別の説明が必要ですが、
それはまたいつの日かお話しましょう。

 アメリカではGDPの5パーセント以上が著作権収入によるのだそうです。
そして日本でも知的財産権がますます重要になってきています。安く大量にモノを作ることは
人件費が安い国に任せ、知的で個性のある創造物をたくさん作る社会に転換する必要があります。
そのためには、知的活動をきちんと評価できる社会にしなければならず、そのためには有能な
著作者が堂々と権利を主張し、自分の作品の個性と素晴らしさをPRしなければなりません。
自分の作品に自信があるのなら、恥ずかしがったり謙虚になってはいけません。権利を主張し、
駆け引きをして単価をあげるようにして下さい。時間はかかるかもしれませんが、
地道に努力していただきたいと思います。そして、私も今後、著作権法や契約の
ノウハウについて皆さんにお伝えして行きたいと思います。