「SOHOをしたいがどんな風に始めたら良いか分からない」「このソフトを持ってはいるが使い方が分からない」と、丸裸で誰かに助けを求める人にしばしば出会いますが、そんな時私は「まず本屋に行きましょう」とお薦めします。特に
SOHO・起業関連、PC関連であれば書籍・雑誌など山程ありますから、まずはどれでも良いので手に取ってみる。何冊か同じようなものを見てみて自分が「読みやすいそうなもの」で「値段が手頃なもの」を買う。それを一通り読んで実践して、それでも分からない部分はネットで調べたり、誰かに聞いたりするのが「順序」ではないでしょうか。
自分で出来る範囲のことをせずに、一から十まで他人に答えを用意してもらおうという姿勢では、孤独なSOHO事業を続けるには心許ない気がします。SOHOは「セルフ・プロデュース」です。自分で自分自身を製作・製造、生産し、スキルをどんどん上げていかなければなりません。「自助の精神」無くしては出来ないのではないでしょうか。
「そんなことは分かっている。その膨大な情報の中でどれを選べば良いのかを知りたいんだ」と思われるかも知れません。でも、同業のSOHO同士であっても取引相手や業務の方針が違えば必要な情報は違って来ることもあります。自分にとって何が必要かを見極められる力。これもSOHOに必要なスキルです。
自宅がオフィス兼用のSOHO事業者は多いと思います。しかし果報は寝て待っても来ません。オフィスの外に対しての「攻め」の姿勢も大切です。
その為の手段、情報源として、先程挙げた「本屋」がその一つです。(念のため申し上げておきますが、身内に書店経営者がいるとか書店に借りがあるとかいうことは、決してありません。ある意味、特に買う当てもないのに売り場をウロウロして迷惑をかけているという点では「借り」なのですが。)専門的な書籍や雑誌は一般には余り知られていないものも多いので「こんな本があったのか!」と意外なものに出会うことがあります。人から聞いたことよりも、「本」という形で手許にあり自分の脳を能動的に働かせて覚えたことの方が、しっかりと身に付くものです。(補足:蔵書数が多ければ図書館ももちろん利用すべきものです。)
もう一つは「人」=「人間関係」です。PCならば「a」というキーを押せば「a」という答えを出してくれますが(「a」という答えしか出ませんが)、人は同じことを聞いてもその人によってそれぞれ感じ方が違い、「a」と言っても「b」と感じる人や「c」と感じる人がいる。またそれに対する反応も人によって、或いは状況によって変わります。PCと比べると「人間関係」はアナログ的で、そこが難しく、煩わしくもあります。会う人すべてがビジネスに(売り上げに)つながる訳ではありませんが、そう諦めてしまって「種蒔き」することをおっくうがってしまっていませんか?
仮に、同程度のスキルのあるSOHO事業者が2人いるとします。一人は名前は聞いているが会ったことのない人。もう一人は異業種交流会などで何度か会ったこともあり、メールや季節の挨拶状などをもらったことがある。どちらに仕事を依頼するかと言えば、おそらく(よっぽどの理由がなければ)後者でしょう。昔タバコのCMか何かで「ちょっとした 心遣いも 味のうち」というコピーがありましたが、個人事業者が大企業よりも発揮しやすいのは、こうした人間的アナログ的魅力だと思うのです。そうして「良い人脈」を広げることが出来て初めて、冒頭に書いたような場合に助けを求めても快く手を差し伸べてくれる人が現れるのではないでしょうか。
情報の「アンテナ」を張り巡らし、自ら「考え」て「選び」、自分の「足」で動く。
とても簡単で基本的なことだと思うのですが、情報が氾濫し、便利になり、デジタル化していく社会の中で、ともすれば忘れがちになっているのではないかと感じてなりません。
時々は立ち止まって、「アナログ的」なものの良さを振り返ってみませんか?コンピュータは人間が出来ないことを代わりにしてくれます。でも人は、コンピュータには出来ないことだって出来るのですから。
Studio Hiro T. 中林 美貴子