更新: 2001年09月26日
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財団法人九州ヒューマンメディア創造センター
主任研究員 (北九州テレワークセンター担当)
荒木幸生 2001.9.26
■SOHOの人達の多くが、大企業と取引したいという。首都圏でも地方でも、東京の大企業との取引が望まれている。最大の理由は、大企業との取引実績が信用となり、他への営業にも繋がると言う。また、はっきりとは口にしないが、自分のステータスも上がるらしい。確かにそうとも思えるが、皮肉っぽく見ればブランド趣味とも思える。
■大方の大企業では、日常的で簡単な処理で済むコンピューター・情報システム業務は、ラインのパソコン腕利きが処理する。ラインでは対応できない事を、専門部門に依頼する。その部門では、既に多くのスタッフを抱えている。そのスタッフでは量的質的に処理できないものが、外注に出される。その外注案件の殆どが、子会社、得意先またはその子会社、OB・OG、長年の出入り業者によって受注される。SOHOが入りこむ余地は隙間程度しか無い。その隙間に入り込む為、自薦他薦の新規業者が日参している。強敵だらけだ。
■部門の発注担当者は、有名大企業との取引実績が、発注の決め手になる事は先ず無い。
とはいえ大企業相手の取引は、大学と同じで入るのは難しいが、一旦入ればこんなに楽で面白く、美味しいものはない。SOHO達が切望するのは、充分理解できる。閑話休題。私は零細・中小企業とコミュニティに、IT化の大きな市場があると思っている。中小企業が全産業に占める割合は、売上で40%、従業員で60%、投資額で20%。製造業に至っては、企業数で99.5%を占めている。
■その中小企業はITの専門要因を抱える余裕も無いし、何処からどの様に手を付けたら良いのかも判らないだろう。零細企業に至っては、社長である親父さんはIT化の必要性はそこはかとなく感じているものの、典型的なコンピューターアレルギー患者である。SOHOの0地元でがんばっている零細・中小企業者の生産性向上、効率化、PRの為に、彼等にも扱えるようなITを教えたらどうだろうか?
■パソコンの家庭教師から始め、メーカーが疎かにしているトラブル処理やメンテナンスの出前をしても良いではないか。初歩的で、地味で、大儲けできない。美しくはない仕事かもしれないが、感謝される仕事に違いないし、市場も広く入り易い。企業の株価を吊り上げるITも結構だが、住民の生活と仕事を楽に豊かにするITの方が、より多くの国民から支持を得ると、私には思える。
■私はコミュニティービジネスの普及も提言し続けている。私の言うコミュニティービジネスとは、公務員が実行していた住民サービスやデスクワークの内、例えば、広報誌の取材編集・イベントの企画運営・公民館の利用企画運営・情報サービス・委員会審議会議事録作成・データ整理等々である。もし、こうした仕事を民生化する自治体が出現すれば、SOHOやNPOの仕事にうってつけだと私は思う。