公益財団法人 相模原市産業振興財団

「SOHOらしく」について考えてみました

Green Studio 藤川 さとしGreen studio 代表 藤川 さとし

こんにちは。相模大野の藤川といいます。
このコラムでは、毎回多くの方々が独自の視点から「SOHO」を語っておられ、楽しく読ませていただいています。切り口豊富な「発言の場」が、私にとってそのまま有意義な勉強の場であり、とても嬉しいことです。異なるいくつもの立場・見方・考え方を紹介しあう事は、たいへん魅力にあふれたことなんですね。
この際よい機会ですので、情報交換の場としてのSOHOスクエアの役割や、自分のSOHOとしての在り方をながめながら、自分のこれまでをふり返ってみることにしました。

●この街での出発

開業当初、顧客の大半が大都市圏にあり、私の“仕事頭”は常にそちらを向いていました。開業に適した環境だから相模原を選んだというよりは、たまたま生活圏で旗揚げするしか方法がなかった…、これが私の場合の現実です。ですからこの時、私の仕事と地元とは何の関係もなかったといえます。

そんな私でも少しずつ「地元の情報に注意しよう」と考えるようになりました。
「今よりも効率的に受注し営業の幅を広げるため」です。ご時世のこともあり、当時の業務実績は大きく上下していました。過当な価格競争の中で、私は大した競争力を発揮できずにいましたし、 このままでは「よいものを作ろう」という最後の砦までどうにかなってしまう。そういう危機感と相対しながら、不安定の度合いは増す一方でした。
もちろん、地元なら簡単に仕事が手に入るという話ではありません。かえって難しいのは分かっていました。完全な新規開拓から始めなくてはならないからです。本当におそるおそる「地元シフト」について意識し始めた訳です。

ちょうどその頃、子どもが相次いで就学年齢となり「この街が大切」という意識が私の中で芽生えたかもしれません。家族が成長する歴史を、この街の中で持ったことで自分のこれからと、この街の歩みは徐々にですが接近してきたように感じます。

●街と事業が接近してきた!

勤めを辞め開業したのは8年ほど前。自宅の一室でした。当時一番「面白い!」と感じたのは、街の顔つきにはいろいろある、という点です。
自宅営業なだけあって、カバンを持って商談に急ぐ私の「時間帯」は様々です。サラリーマン時代はいつも同じ時間に周囲の方々と一様に黙々と駅への道を急いだものです。ハッキリ言って「通勤時の街」しか知らない人でした。それがどうやら道路を人が一方通行のように急ぐ時間帯もあれば、同じ場所を人が思い思いに行き過ぎる時間もある。実に単純な事実ですが、こんな視点を持てたことが、なぜか“誇り”に思えました。また、たったこれだけのことで自分の独立は正解だったと感じました。

その後よく見ると、確かに街の顔は様々でした。◎小学生の集団登校でにぎやかな時間 ◎パートに向かうお母さまたちが自転車でかっとぶ(失礼!)時間 ◎お年寄りが公園のゲートボールに繰り出す時間 ◎学校が終わって子供たちが街のあちこちに散り集う時間…etc. ホントにいろんな顔があって、毎日のリズムがある。街は生き物なんですね。

そんな場所で自分の家族がくらし、成長している。この街が健康な賑わいのある環境をいつまでも維持して欲しい、こういう中で働き手として生きる自分の立場が確立できたら素晴らしいのに。ごく自然にそう思えたのです。

●地元シフトで自分の中の初心者と向き合うことに

こんな経緯があって後、市内で「SOHO支援」の事業が行われていると知りました。
勉強会や交流会が主体の「後押しをしてもらえる」のか…。会社員時代には看板と実績がある上に更に多くのものを積み重ねる作業でしたし、専門の営業職もいてくれる環境でした。今はどうやって一つ目の石を置くか、という作業です。新たな開拓のチャンスに繋がるかもしれない、この機を逃すものか、そういう気持ちで乗り込みましたが、はたして大きな成果は上げられずに帰ることとなりました。
私には出会いの縁を強い結びつきに変える、工夫と努力が足りなかったようです。少しの時間「名刺交換をしてください」といわれても、それだけで上手に自社の本当の良さをお知らせするには、あまりにも未熟な自分の対話術に驚いたりさえしました。

「手探り」というと聞こえが良いですが、何でも自分次第であるが故の「見通しの甘さ」や「戦略性の足りなさ」が、ここまでふり返った文字を読むことで感じられ、恥ずかしいです。でも私がSOHOであればこうなってしまうのは当然だな、とも思います。個人の性格や欠点がそのまま事業の性格に反映するのだから。

私にとっての「地元シフト」はまだまだこれから。充分にキャリアを積んで独立したはずが、自分の中味の薄さにガッカリする場面を経験しながら、この先がやっと本当のスタートになるんだと実感しています。

●近くの人たちと話して見つめる私たちの将来

ここまでの話を通じて、なにも「相模原のSOHOだから相模原の仕事をやらなくてはいけない!」というのではありません。業種にもよりますが、地元には私たちSOHO事業者を育ててくれる土壌がある。自分の示した愛着に応えてくれるふところの深さが感じられます。営業の拠点がどこかに関わらず、私たちはもっと“話す機会”を持って、こういった土壌を活かすスタンスを持つべきじゃないでしょうか。

よくSOHOについて「テレワークによる小規模事業者」という説明を目にします。
定義づけはともかく、スクエアに集い学ぼう、キッカケをつかもうということを言っている以上、もっと「私たち」の性格や共通の目的について明確にし、個々の結びつきやSOHOと社会の結びつきについて話し合いませんか? これまで以上に密度の高い協力関係が築けたらすばらしいことですね。
私たちは会社組織の持つ集団としての強さやバランスを持ちません。しかしそれを補える可能性はどこかにあるはずです。私はそれをSOHOスクエアに感じました。ただ学び交流するという以上に、もっと積極的な意見交換の場として、私たち自身が今後これを育てていけたらいいと思います。

SOHO事業者はとかく「ひとり」というイメージが先行しがちですが、むしろ街や近在の同業者たちと密接に関係を作る必要があるのはわれわれです。単に相手の顔を知る以上に、様々な意見をぶつけ合うことで、少しでも「クリエイティブな関係」を築いていけることを望みます。それが「SOHOらしく」力を発揮することにつながるのだから。

◎広告・広報に関する編集企画&デザイン制作
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藤川 さとし
st-green@js7.so-net.ne.jp

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