アイティブレイン 池田ともこ
2004.7.12
IT時代におけるコミュニティビジネスとは、偶然、価値あるコミュニティとして評価され、世の誰かに見出されたとき誕生するビジネス?!
去る5月中旬、平塚で開催された神奈川県下のIT協議会主催のシンポジウムにパネラーとして参加してきた。基調講演&コーディネーターはハイパーメディアクリエイターの高城剛氏。「ブロードバンド時代におけるコミュニティビジネス」と題した内容は、SOHOワーカーの皆さんにとっても私にとっても活動のヒントとなる興味深い有意義な内容だった。以下、参考までにご報告コラムとさせていただく。
<コミュニティビジネスとはビジネスありきでなく、
コミュニティの中から生まれる>
皆さんは「コミュニティビジネス」という言葉をご存知だろうか。いろいろな定義や見解があるが、ある日、図書館で手にした「相模原市におけるコミュニティビジネスの定義」を紹介したチラシには、「コミュニティビジネスとは、市民が主体となり、地域の住民が抱える課題やニーズを素材として、有償サービス方式で事業を展開し、地域産業の振興やコミュニティの再生など、地域の活性化に寄与する事業をいう」と、書いてあった。
高城氏曰く、「何気なく好きなことから始まり、ひとつの目的に向かうものであり、意としないところでビジネスにつながっていくのがコミュニティビジネスである」といい、「ビジネスビジネスしたところから生まれるものでない」と話していた。
恐らくコミュニティビジネスとは、何かビジネスを創っていこう、といった発想で集うコミュニティから生まれるものでなく、各自が抱えている問題や趣味嗜好(思考)などの同じ仲間が集い、継続した全員参加型の活動プロセスの中から発信されるコミュニティ・コンテンツを通して、ある日、偶然それを見た人から、暮らしを「豊かに」する「便利」で「価値ある」コンテンツ(モノやコト等)であると評価され、信用が生まれるその先に、ビジネスが芽生え、コミュニティビジネスが誕生するのではないか、と考える。
私はこれまで「仕事とコミュニティ活動(ボランティア)との時間¥配分・コミュニケーションバランスが課題」と抱いてきたが、今回、高城氏とお会いし「前近代的な発想」とひとことで片付けられてしまった。お恥かしい話だが、自身のこれまでの思考や行動を省みるよい機会となった。
<既存コミュニティがプロダクトとしての価値を見出される基準
〜情報濃度〜>
皆さんは、地域で、地域に限らず仕事や趣味仲間などで集うグループや団体など、いくつかのコミュニティに所属し、会合等定期的に参加しているところがあると思うが、そのコミュニティ内において、ご自身の関わり度合はどれほどだろうか。
例えば、名前だけ登録しているレベルなのか、それとも積極的に参加・運営まで関わっているレベルなのか、など…各自コミュニティに対し、さまざまな関わり方や思考スタイルをお持ちのことだろう。
高城氏曰く、「自分の主張、アイデンティティを参加型で発信し(インタラクティブ)、人に見せられる事がエンターテイメント(コンテンツ)だ」と語り、さらに「匿名性の集合体でなく、リーダー中心の団体でもなく、IT時代の新しい組織は個人が中心となり、各々の個人の意識を変えていき、つながっていく集合体が地域の活性化につながる」とのこと。これからの時代、個々人の参加型コミュニティネットワークが評価される時代であることが伺える。また、「テレビ局の情報を視聴者がみたとき、その情報が正しいかどうかの判断基準をインターネットなどによるサブトラックとしての情報をコミュニティサイトでチェックすることから、特定のジャンルに特化すると巨大メディアと対等に渡り合える信頼関係の構築が可能」となり、「広域の口コミ以上マスコミ以下のメディアで評価されることで、信用を築き、行動するきっかけとなる」と話してくれた。